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2019.03.10

現代の革靴である〈CALMANTHOLOGY〉に込められた熱い想いとは?

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今期で3シーズン目に突入した〈CALMANTHOLOGY(カルマンソロジー)〉。
ファーストコレクションより静かに人気を博し、目利きバイヤーたちが注目した日本屈指のプレタポルテシューズブランド。
今回は、デザイナーである金子真氏のプロダクトに対するこだわりとファッション業界でのモノづくりにおける熱い想いを紹介したいと思います。


1.ブランドコンセプト

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写真家ウジェーヌ・アジェの作品に着想を得て

デザイナーである金子真氏(以下、金子氏)は、近代写真の父と呼ばれるフランスの写真家ウジェーヌ・アジェ(1857-1927)の思想を、自身のブランドと重ね合わせております。
パリの建築物や家内家具など失われる古きパリのイメージをひたすらに撮り続けたアジェ。
その作品に対する一貫性は、時代の変化に左右されず己の信念を貫き通す、まさに職人のような人物でした。
金子氏がアジェの作品を通して、込み上げてきた言葉が「言葉なき詩集」。
静寂で静か、語らなぬモノの世界を切り取り、対象への比類なき没頭を繰り返す事で辿り着く最高度の魅力。

CALM(静寂/静か)、ANTHOLOGY(詩集)の意味を込め、生まれた造語がブランド名である〈CALMANTHOLOGY〉。


2.製法

「伝統と進化」をテーマに、先人から学んだエッセンスと進化に必要な金子氏の着眼点について見ていきましょう。

-ステッチ
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アッパーステッチ
30番手-30mm間に17〜19針

中厚の革を中心に使用するメンズ既製靴の中では、不可能と言われるピッチで縫っております。
その細かいステッチに耐えうる良質な皮と、熟練の職人が織りなす高い技術によってカルマンソロジーの美しいラインが生まれます。
一般的に大量生産での針数は13〜15針が限界と言われていますので、ここに職人による高い技術が見受けられます。

ウエルトステッチ
撚糸-ラバーソール30mm間に8〜10針、レザーソール30mm間に10〜12針

レザーソールとラバーソール、ソール仕様によってステッチピッチを変えています。
レザーに関しては、革の綻びが出てこないようにより細かい出し縫いでウエルト部を引き締めています。
ラバーに関しては、屈曲した際に靴にしっかり付いていくことを優先し、ピッチを少し和らげています。
さらに針隙間を蜜蝋クリームで埋めることで、強度を高め、美しさを持続させます。


-ライニング
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ライニングレザー
1.1mm厚の熱仕上げ

まず厚さ1.2mmに均等に剥ぎ、低温の熱プレスで1.1mmに表面を仕上げます。
厚みは均等に揃えることで、縫製の糸のテンションにバラつきが起こりにくくなります。
また低温熱で一度表面を締めることで、滑りを良くし、余計な摩擦が生じないよう考慮しています。

世界でも発汗量の多い日本人の特性を汲み取り、一度プレス(アイロンプレスの先潰し)で潰した部分が湿度と空気により、起き上がってくる事を想定し仕上げています。
この一手間をかけた工程が、履いているうちに、足に馴染むフィッティングにへと変化していきます。
したがって最初に履いた際は、若干足当たりに硬さを感じるようになっております。


-ヒール
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木型をより足型に近い形で表現する為、底面ヒールポイントからインステップガースまでの距離を緩やかなアーチ型で削っています。
その為、カルマンソロジーの木型は極端に言えば弓形のような底面をしております。
通常の作りだと踵部分は木型の形状にほぼ関係なく、傾斜をつけて靴を置いた時の安定感を優先します。
これは靴は置物ではなく、人が時間をかけ履くことで完成するプロダクトだという金子氏の強い思いがあるからです。
中底とソールの間に1.5mmの隙間ができるように設計され、体重がかかることで徐々に沈み、安定していくという仕組みです。


-ヒールクラッチ
現代人はアスファルト生活が多い為、踵の衝撃を和らげる構造を取り入れています。
過剰なクッションを敷くというやり方ではなく、ヒール積み上げ部分に特殊低反発素材をサンドイッチする事で、硬いトップリフト(高反発)+特殊ゴム(低反発)+革(中反発)の三層を作り、地面からの衝撃を抑え込む構造を考えました。

*ポイントは、踵をしっかり付け、紐を締めた際に少しキツイという感覚がご提案する適正なフィッティングとなります。


-ラスト
カルマンソロジーの木型は、立つ動作と歩く動作の現代理想形を追求しています。
1900年初頭-1960年代頃(職人技術の変化と進化が繰り返された時代)までの木型技術を細く分析し、現代に置き換え、何度も削り直しと組み替えにより完成した独特のねじれのある木型です。
底面にのみ生じたねじれが、指で踏み締めて立つという行為と、踵から小指、親指に円を描くように歩くローリング歩行を推奨した作りになっています。


いかがでしょうか。
この日本人の特徴を考慮し、一つ一つこだわり抜いた製法。
過去から継承された伝統に敬意を払い、テクノロジーという視点で現代に落とし込む。
100年先も残る靴の形を作りたいという金子氏の想いが詰まっていますね。


3.シューズの種類

ここではシューズの型について、いくつかご紹介したいと思います。

STYLE NO / A6534
BALMORAL CAP TOE
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ボリューム感を抑えたナローラストに、最小限のカットワークのみで構成した内羽根式のストレートチップです。
デュプイ社(フランス)のサドルカーフを使用しており、絶妙なコンビネーション鞣し。
適度な吟先の堅さに下肢部分の柔軟性が備わり、履きシワも含めエイジングが美しく出てくるのが特徴です。

デュプイ社とは、世界トップクラスの最高品質カーフレザーを作るフランスのタンナーです。
エルメスなどのメゾンブランドにも卸していることで有名です。


STYLE NO / A918
LONG WING TIP
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ファーストシーズンより人気を博しているロングウイングチップ。
カジュアルの印象が強いロングウイングですが、細かいステッチとパーフォーレーションが全体を上品に仕上げています。
紐先にタッセルがついており、イアン結びなどほどけにくい結び方を推奨しているほどのこだわりぶり。
トップリフト、アウトソールはVIBRAMを使用し、街履きにもいい1足です。


STYLE NO / A21
GILLIE BROGUE
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PAGE.3コレクションで初となるギリーシューズ。
スコットランドに起源をもち、最もクラシックなスタイルであるタン無しは、1800年代後半より舞踏用として親しまれてきました。なので湿気を外に逃がすことを意図したデザインとなっております。
履き口とタイトな内羽根の絞りを意識し、全体のフォルムを崩すことなくフィット感をキープ出るように仕上げています。
アノネイ社(フランス)のヴェガーノを使用。伝統ある技法と最新の鞣し技術によって生まれた強い吟面と、山岳地帯特有の良質水により生まれた柔軟性が特徴です。

アノネイ社は、デュプイから独立したフランス中南部にある世界最高峰のタンナーのひとつです。
ハリとコシがあり堅牢な為、履き込むほどによく馴染み風合いが出てくるのが特徴です。

4.金子氏の想い


100年先も残る靴の形を作りたい


今は誰もが、物を作れる世の中です。

実際、靴の事を深く理解しようとせず作っている人は沢山いると思います。

誰かが何年もかけて辿り着いた微かな答えを簡単に複製し、販売する。

この繰り返し、積み重ねが大消費社会を作り、物が次々にゴミのように捨てられていく。

いつしか物を大切にするという考えを無くした事を「ファッションだから」という一言に変えて正当化する。

この上状況が続く限り、本物のファッションは帰ってこないし、この先に残る価値ある物は存在意義がなくなっていく。

カルマンソロジーで表現したいのは、「この先に残るモノとコト」

いきなり1000人に解ってもらう事をするつもりはありません。

10人、100人にと少しずつモノの理解を深め、大切に想って頂くコトを問いかけ続けていくつもりです。


5.CALMANTHOLOGY LAUNCH EVENT

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現在、トゥモローランド御堂筋店では、"CALMANTHOLOGY LAUNCH EVENT"を開催しております。
全16型のフルコレクションを一度にご覧いただけ、最終日には金子氏も店頭に立たれます。
この機会にぜひご来店ください。

PAGE.03 - 2019SS
3rd SEASON COLLECTION
LAUNCH EVENT 2/27(WED) - 3/10(SUN)


トゥモローランド 御堂筋店 清水
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